ウッドチップ舗装の環境性能

・自然素材だから、産業廃棄物にならない

・蓄水してゆっくりと蒸発するので、気温の変化を緩和

・間伐材を使用するので、森の生育に貢献

・照り返しを軽減し、ヒートアイランド現象を抑制

・雑草を寄せ付けないので、薬品が不要

・軽い素材なので、災害被害を軽減

・緩衝材が入っているので、寒冷地でも強い

・化学薬品を使用しないため、施工者にも安全

・木材はCO2を吸着するため、温暖化対策にも貢献

・素朴な風合いが憩いの空間を演出


・自然素材だから、産業廃棄物にならない


 木、土、砂、水、海水からの抽出ミネラルで作成されるウッドチップ舗装。

 海水からの抽出ミネラルは、食品や医療品にも使用される純度の高い酸化マグネシウムで、口にしても人体に悪影響は及ぼしません。構造自体はその凝固材である酸化マグネシウムが、炭酸マグネシウムに変化することで固まる単純な仕組みなのですが、万里の長城を古来から支えている丈夫な構造です。
 丈夫な構造のウッドチップ舗装も5センチの厚みでしたら、叩いて壊すことが可能です。

 長年使用して、いつか遊歩道としての役割を終えるときが来たとしても、このウッドチップ舗装の素材は産業廃棄物にならず、畑に入れても大丈夫な安全な土のままでいることができます。

 豊かさを求めて開発至上で、自然環境を破壊して来た時代から、環境そのものの未来を考え、そこから豊かさを得る新しい時代の要望に応える技術です。


・蓄水してゆっくりと蒸発するので、気温の変化を緩和

 今までの舗装技術は、表面が硬く水を溜め込むことが出来ないため、水分はどこかに流されていくしか行き場がありません。

 都市部では、行き場を失った水分は、地下の排水溝を通り別の地域へ運ばれていきます。その場に降った雨でも、日の目を水に暗い地下の中で、違う地域に運ばれていくわけです。

 水分は蒸発をすることによって、周囲の熱を奪い気温の急激な変化を緩和します。夏の暑い時に森の中に入ると、スーッと涼しく感じられるのはそのためです。逆にコンクリートの上で、溶けそうなほど暑くなっている環境は、ただ暑い日ざしが作り出した気候だけの問題ではなく、水を都市部から排除したことによる、人為的な悪影響が快適な生活を脅かしている代表例です。決して当然のことではなく、より快適な空間を作り出すことに取り組むことが出来るはずの問題なのです。


・間伐材を使用するので、森の生育に貢献

 

 間伐材を利用することが、日本の森林資源を守ることに直結することはあまり知られていません。森林資源を健康に維持するためには、人出による管理が必要なのですが、人件費の出ない産業化繁栄するはずもなく、日本の林業の間伐対策は一進一退を繰り返すような遅々としたものとなっています。放置された針葉樹林は生産性のまるでない閉ざされた空間になります。林床にはなにも生育せず、単一の植生は生物の繁殖も限られたものとしていまい、さらに根はりを弱くして土砂災害の遠因にもなっています。

 木材を使用することは、それだけで森の生育を助けることになります。森から出した木材が使われることによって、雇用を生み、地域の経済を向上させ、さらに森を手助けできる人的資源の育成を行える好循環をもたらすことが可能です。

 日本の国土の大半を占める資源がよりよい活用方法で利用されることにより、環境を改善し人々の生活環境、経済面でも大きく改善することは、地域の個別の事情によらず、何処の地域でもある程度想定できることであるはずです。
 ウッドチップ舗装は間伐材を都市部で利用することによって、地域財政を助けます。しかも最も課題となる運搬のロスを最小限にする形状で林間部から都市部へ運ばれます。ウッドチップ舗装を広げることが間伐材の利用に直結し、効果を生み出すことが容易に想定できる理由のひとつです。


・照り返しを軽減し、ヒートアイランド現象を抑制

  

 真夏のアスファルト舗装面の表面温度は50℃を超え、条件によってはアスファルトの表面が溶け出すほどです。このことによって、地面付近の温度上昇が著しくなり、耐え難い都市型の暑さをもたらします。さらにベビーカーや小さなお子さん、車椅子の方は、地面に近いリスクから危険な状態にさらされており、交通弱者に対して非情な社会環境であると言わざるを得ません。セメントやアスファルトは、熱を蓄積し易く、また熱伝導率が低いため、熱くなれば熱いまま、冷たい時は冷たいままという状態が続きます。夏の暑い時期には、熱せられたセメントやアスファルトは、夜間の気温低下に冷まされる暇もなく、翌日の暑さを向かえ、夜間でも気温が下がらない悪循環を生み出しています。特にアスファルトは表面の黒色のため、より熱を集め易く、周囲の気温上昇を助長します。このことによって都市部のアスファルト舗装ばかりの空間で、著しい気温上昇している場所が島のように点在することとなります。これがヒートアイランド、都市に生まれた熱の島です。

 このヒートアイランドは、熱を吸収せずに照り返しによって空気中に熱を伝え、空気中の温度上昇も助長します。海や雲、白い砂浜などは太陽のエネルギーを吸収して、地球を住みやすい環境に保つ力があります。この反射と吸収の割合をアルベド比という数値で表しますが、アスファルト舗装は吸収せずに反射させ、かつ溜め込みやすい状態で熱をためこんだまま、周囲の温度を上昇させる最悪の条件をもたらしています。

 丈夫で都市の発展を支えてきたアスファルトの道路ですが、それ以外のところではなるべく照り返しの少ない部材を使用する動きが都市の緑化です。ウッドチップ舗装は緑化による温度上昇の緩和とともに、歩道の涼しさを作り出す積極的な環境改善の策となります。


 ・雑草を寄せ付けないので、薬品が不要


 大きな施設などで、雑草対策をする場合には、様々な方法がありますが、その方法の一つとして葉枯らしの薬品を使用することが多いようです。この薬品のコストを下げるためにウッドチップ舗装を検討される方もいらっさる位です。草刈には人件費が掛かり、機械による草刈は早く済みますが段取りに時間が掛かります。このため、なんとか雑草の繁殖を抑えようとして、ごまかしながらいろいろな手段を複合的に講じるのが多いパターンです。この際に軽減させようとして砂利などを撒いてしまうのが最悪の措置で、一度砂利が草に負けてしまうと、草刈の作業自体を大変なものにしてしまいます。

 雑草は2KNの力で押しても壊れない盤面では、種が落ちても繁殖することが出来ません。ウッドチップ舗装は適切な厚みをキープすれば、十分にこの硬度を出すことができます。一度工事をしてしまえば雑草を寄せ付けず、その後、元に戻そうとすれば自然に返すことが出来るのが、自然素材のウッドチップ舗装の強みです。


・軽い素材なので、災害被害を軽減

 ウッドチップは水に浮くほど軽く、アスファルトの骨材である砂利よりも、ずっと軽量です。ウッドチップの骨材は中空でコーティングされているため、軽量でも丈夫に加工されています。このため作成される盤面自体も軽く、災害時の水流や土砂に巻き込まれた場合でも、破壊力を発揮しにくくなります。軽量なのにしっかりと硬化するため、土砂崩れを起こりにくくし、さらに浸透性能の良さが水はけを良くする為、急激な水流を和らげる効果があります。また、万一の災害で流されても、畑の土が流されたのと同じ状態で、復興作業の妨げにもなりません。こうした意味で様々な場面で、被害を緩和する方向に働かせることが出来ます。


・緩衝材が入っているので、寒冷地でも強い

 古来からの「たたき」に似た方法で、土舗装というものがあります。この土舗装を関東より北で作成した場合、凍結による盤面の膨張でクラック(割れ目)が発生することがあります。このクラックは行き場のない力で起こる破壊なのですが、ウッドチップ舗装の場合骨材のウッドチップが膨張時の緩衝材となり、クラックを作り出す力をうまく逃がすことが出来ます。このため関東以北の土舗装には、ウッドチップを混ぜるのが得策です。この強度を保つノウハウを当協会は保有しています。また、凍結によらない場合でも、凝結時の膨張でクラックが出来ることもよくあります。硬すぎる盤面はもろくなってしまう面もあるわけです。


・化学薬品を使用しないため、施工者にも安全

 樹脂舗装や化学反応を伴う遊歩道の施工工事では、化学薬品を使用するため、作業者の安全管理を徹底するのに大変な労力を必要とします。多くの場合はマスクも必要となるのですが、突発的な工事では準備が間に合わず、そのままの状態で吸い込んでしまいながら工事を続けることも多いのが現状です。化学薬品や接着剤を駆使して作成する舗装面の場合、周囲の生態系にも悪い影響を与えることは自明です。ウッドチップ舗装の場合は、虫が近くを通って、それだけで死んでしまうようなことはおこりません。虫が通りすがって死んでしまうような環境で、施工作業者は働かなくてはならない、という現状を改善します。


・木材はCO2を吸着するため、温暖化対策にも貢献

 木材は燃やすと二酸化炭素を排出し、地球温暖化の原因となると思われがちですが、大きな間違いです。木材はそれだけの二酸化炭素を吸着しているため、燃やさなければ、温室効果ガスの原因を体に閉じ込めたまま眠っている環境性能の高い部材なのです。ウッドチップ舗装はこの木材を削っただけのそのままの形で利用するため、二酸化炭素を吸着した状態を維持する、理想的な使用方法となります。さらに木材は燃やされても、吸着分と排出分のの収支差により、二酸化炭素は減ることになります。間伐が温暖化対策に有効である所以です。当協会のウッドチップ舗装は、この間伐材を利用するため、何重の意味でも二酸化炭素の削減に貢献する技術と言えます。


・素朴な風合いが憩いの空間を演出

 公園など憩いの場にウッドチップ舗装は好まれて採用されます。行政の要望としては、なるべく自然の雰囲気を演出して欲しい、と言うものが多く、人間が緑化環境で癒されることをよく表しています。

 都市部では、眺める景色のほぼすべてが無機質であるということが当然のこととされています。そういう場で暮らす方々にとって、自然の息吹を感じさせるウッドチップは癒しの対象となりつつも、実用性が高く生活環境を便利にしてくれる技術です。木のやさしさはそこにあるだけで何となく感じることが出来る、人間の生活を心から助ける素材なのです。